「人前でお金の話はするもんじゃない」と幼い頃に父に叱られたことがある。当時の日
本には、そのような美学があったように思う。
50年の時が流れ、昨年の春から高校の家庭科の授業に金融教育が始まったと聞く。遅過
ぎる感はあるものの第一歩を踏み出したことは歓迎すべきことだろう。社会を賑わす「奨
学金」「給与」「税金」「年金」、そして「振込詐欺」などは、どれもお金にまつわるこ
とだ。
1980年代のバブル期には預貯金金利は8%だった。難しい資産運用など考える必要はな
かった。郵便局や銀行に預けておけば元本保証、確定利回りで安全・安心にお金は増えて
いったのだ。
翻って現在、預貯金金利は0.002%。これではお金は増えていかない。そのため安全・安
心のお金の置き場所から、不確実性を含む資産運用への舵を切る必要性があり、若い人た
ちにも金融や資産形成の方法を学ぶことが望まれているのだろう。
ところで『72の法則』なるものがある。これは、その時々の預貯金金利の水準で、元本
が2倍となる時間を示す算式だ。例えば、バブル期のような時代の預貯金金利8%ならば
、72÷8=9 となる。これは8%の金利ならば元本が約9年で2倍になることを表す。
今、0.002%の預貯金金利で元本が2倍になるにはどのくらいの時間がかかるのだろう
か? 気の遠くなるような話だ。72の法則によると何と36000年という答えになる。やはり、金融や資産形成の学びは必要なことなのだろう。
代表取締役CEO山﨑泰明

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